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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第2章 恋の唄
その表情から、息子の方は父に対して、いかなる感情を抱(いだ)いていたのかは大体見当がつく。
「残念ながら、お館さまは先代さまに対して、お心を開いて打ち解けようとはなさいませんでした。やはり、お母上の死にまつわる良からぬ噂の数々がお館さまのお心に暗い翳を落としていたのでござりましょう。お館さまが実際にその場を目撃したのかどうかはともかく、お父上がお母上を追いつめ死に至らしめた―とは思し召していたようです」