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第2章 恋の唄

「人間の心とは不思議なものです、愛されぬゆえ、なおいっそう愛されたいと願う、振り向いて貰えぬがために、いっそう相手を慕う。邦成公は千鶴の方の心を、お館さまは父君や母君の心を求めようと必死になっておいでであった。私から見れば、邦成公はお館さまを慈しまれていましたが、お館さまにとっては、そうではなかったのでしょうな。邦成公の御事も巷ではとかく申す輩が多うござりますが、少なくとも私にとっては良き親父どのでありました」