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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第2章 恋の唄
 今も徳姫は名残惜しいような想いで、残照を見上げていた。
 自分はこのまま、空しく年月を重ね老いてゆき、やがて朽ち果てるしかないのだろうか。空しい、空しくてたまらなかった。まるで心の中にぽっかりと大きな洞(うろ)があって、その中を薄ら寒い風が吹き抜けてゆくようだ。
 霜月もそろそろ半ばに差しかかろうとしている。徳姫の傍を秋の夕風が通り過ぎ、その意外な冷たさに彼女は思わずか細い身体を震わせる。
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