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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第3章 転機
「姫さま?」
 永尾城に嫁して既にふた月近くになろうとしているが、葛木は依然として女主人を〝奥方さま〟ではなく〝姫さま〟と呼んでいる。
 その呼び方の方を徳姫が好むからだ。良人邦昭とは相も変わらず顔を見ることなく日は過ぎている。確かにこの状態では、〝奥方さま〟と呼ばれても、今一つ実感が伴わないのも否めない。
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