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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第3章 転機
 眼の前で襖が閉まった刹那、徳姫の瞳から大粒の涙が溢れ、白い頬をつたった。徳姫の瞼に浮かんでいるのは、ただ一人の男の面影でしかない。
 その日、自室に戻った徳姫は部屋の障子戸をすべて開け放ち、庭を眺めた。折しも夕刻から降り始めた雨は庭の紅葉だけでなく、徳姫の心にまで降り込んでくる。
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