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第4章 花冷え

　気が付けば、保邦の視線が徳姫の書いた紙に注がれていた。
　保邦が静かに紙を取り上げる。
「君待つと　我が恋ひをれば　わが屋戸の
簾動かし　秋の風吹く」
　保邦の声が心なしか、いつもよりは少し低い。
「―あなたは、心からそのようにお思いですか？　私が妻を迎えることをそのようにめでたいと、心から歓んで下さると？」
「保邦さま？」