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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第4章 花冷え
 その夜。
 徳姫は湯浴みを済ませた後、白一色の夜着に着替え、奥向きの更に奥まった一角にある保邦の寝所に伺候した。
 静まり返った閨の中は、深い湖(うみ)の奥を思わせる。水を打ったような静けさの底を衣ずれの音やあえかな声が妖しく這う。
 感じまい、この男の腕の中では髪の毛ひとすじも乱すまい。徳姫は唇を噛みしめ、褥を握りしめて、波のようにじわじわと押し寄せる快感に堪えた。
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