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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第4章 花冷え
 踵を返した男を徳姫は呼び止めずにはいられなかった。
「―殿」
 邦昭の歩みが止まる。
 ゆっくりと振り向くのに、徳姫は立ったまま小さく頭を下げた。
「行ってらっしゃいませ。道中のご無事をお祈り申し上げております」
「留守を頼む」
 邦昭は頷くと、今度こそ急ぎ足で寝所を出ていった。
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