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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第4章 花冷え
 邦昭の瞳に凍てついた光ではなく、何か別のものを見たような気がしたあのときへと。
 もっと早くに邦昭の真の姿を見ようとしていたなら、少なくともこんな後悔をすることはなかった。二十七歳の若さで無念の死を遂げるさだめは変えられずとも、孤独なまま逝かせることはなかったはずだ。
 馬鹿だ、自分は大馬鹿者だ。
 徳姫は溢れる涙を堪(こら)えもせず、その場にくずおれた。


 
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