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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第1章 始まりはいつも雨
我らの生命とて、露と消えるは必定よ。私はもとより死をも覚悟でこの地に参ったが、そなたは違う。月山に残してきた皐月(さつき)や征(ゆき)政(まさ)のことを思わば、そなたをここでみすみす死なすわけにはゆかぬ」
征政とは、征松の元服後の名である。乳人の一人息子に対して、嘉政は自ら烏帽子親となり、自分の片諱を与え征政と名乗らせた。
征政とは四つ違いの姉娘皐月も征政も既に伴侶を持ち、それぞれに子も生まれているのだ。