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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第1章 始まりはいつも雨
この一年での変わり様は殊に著しかった。
今宵、純白の花嫁衣装をまとった徳姫は、水辺で羽根を休める白鷺のように優美で可憐であった。女好きとして知られる邦昭が思わず眼を奪われたのも頷けるほどの変貌ぶりだ。
だが―、この美しさが今度は徳姫に災いをもたらすかもしれない。果たして、己れ一人の力で姫さまを邦昭の毒牙からお守りすることができるだろうか?
葛木は姫の豊かな黒髪を撫でながら、一人、物想いに耽った。