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第2章 恋の唄

「一体、こちらさまは私どもをどれだけ待たせれば、お気が済むのでございましょう」
　葛木の口調は憤懣やる方なしといった感じだが、彼女がこれほど苛立つのも当然かもしれない。
　徳姫主従はこの日、二ノ丸に住まう蓮心尼の許へ挨拶に出向いてきたのである。蓮心尼はまたの呼称を花陽(かや)院(いん)と号し、立場的には城主である邦昭の母に当たる。