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第2章 恋の唄

　穿った見方をすれば、邦成は幸子に息子の生命と引きかえに身体を差し出せと命じたともいえよう。前夫正次を喪った時、お幸はまだ三十歳の若さであり、正次との間に生まれた嫡男佐治郎は漸く十二歳の少年であった。
　たとえいかほど口惜しくとも、幼子一人を抱えて、この争乱の世を生き抜くためには憎い敵将にも身を任せるしか生きるすべはなかったのだ。