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ビターチョコレート
第5章 愛しさと背徳の背中合わせ。
多分ね‥‥‥
もう、私は壊れていたんだと思う。

夫である隆司を毛嫌いしなくちゃいけない、
自分にすら嫌悪感や絶望を感じた。

そして、
夫に死んで欲しいと願うくらい、
邪悪な心に支配された自分をとどまらせたのは、
翔太の存在があったから。


「ママはお料理上手だね」

「ママは可愛い」

「友達がね、
お母さん美人だねだって」

「ママ大好き」

マザコン気味かもしれないけど、
こうして、夕食を翔太と二人っきりで食べるのは、
普通でありながらも、
私は一人ぼっちじゃないと、
再確認が出来た。

反抗期で面倒に感じる事もある息子だけど‥‥‥‥

一人じゃないから、
いろいろ悩んだし、
大事で守らなきゃいけないものがあるから、
私は生きてこれた。

大袈裟と笑うなら、
笑って。

人はね、
強くない。

だから、悪いって分かっていても、
そこに逃れてしまいたいくらい、
葛藤と戦い、
流されて辿り着く、幻想のオアシスも存在するのよ‥‥‥‥
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