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ビターチョコレート
第9章 不倫の果て‥‥‥未来へ
「上に上がってみようか?」

「うん」

私達は、松坂屋の屋上を目指した。

「鳥居があるんだ。
小さな神社風の建物もね」

「そうなんだ」

「マリの幸せを願おう」

「願い事は言わないのよ」

「いつだって、
どんな時だって、
マリの幸せを願うよ」

「有難う」

エレベーターで屋上に上がると、
レンの言った神社があった。

私達は手を繋ぎ並んでお参りをする。


決して許されない二人ですが‥‥‥
純粋に好きです。
神様に背いても叶えたい願いがあります。


どうか‥‥
レンと‥‥
いつまでも一緒にいられますように。

この人と生涯を共に居たい。
私が死ぬまでこの人を愛せたら‥‥‥
どんな罪でも私は受けます。


目を閉じて
手を合わせて
心の中で祈る。


祈り終わって、
隣のレンを見た。

レンも手を合わせて祈っていた。


祈りが終わるとレンは鈴を鳴らした。

そして私にキスをする。

ふわっと幸せの温度が体中を巡る。

優しい笑顔でレンは問いかける。



「マリは真剣に何を祈った?」

「秘密よ」

「秘密か。
じゃあ、永遠に秘密だね」

瞳がカメラのシャッターだったら、
この時のレンの顔を永遠に瞼の奥に焼き付けて、
永遠に私だけのものに‥‥‥


そんな願いもしてみた。
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