この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
石榴(ざくろ)の月~愛され求められ奪われて~
第8章 第二話・参
そのようなことがあるはずもございませぬ。私のご奉公はあくまでも年季を定めてものにて、既にその一年は過ぎましてございます。最早、先日も申し上げたようにあなたさまと私は何の縁もゆかりもなき間柄、このようなことはお止め下さいとお願いしたはずでございますが」
「ふん、口では何とでも言えるな。お民、俺はそなたに惚れている。できれば、無理強いという形では、そなたを抱きたくはないのだ。本音を申さば、そなたに手荒なことはあまりしたくはない。大人しうに俺に身を委ねるが良い」
 お民は嘉門との間合いを計った。
 これなら、何とかなるかもしれない。我と我が身を励ましつつ、嘉門の様子を冷静に観察した。男は余裕たっぷりで、お民の反応を愉しむかのように腕組みをして佇んでいる。お民を見下ろすような恰好で話しているのだ。
 今ならば、まさか嘉門もお民がこんな状況で逃げ出そうとするのは夢にも考えてはいないだろう。
 目まぐるしく思考を回転させながら、油断なく周囲の様子も眼に入れておく。どう見ても、この部屋は二階だ。通りにでも面しているのか、障子窓はすべて閉て切っている。仮にそこから脱出できたしても、飛び降りれば、下手をすれば生命はない。運が良くても大怪我をすることになろう。
 他に出入り口になりそうなものは、当然のことに廊下側の襖。ここから出入りするのが真っ当な考え方ではある。窓から出ることが叶わぬというのであれば、正攻法も正攻法、ここの襖を突破するしかないのだけれど。よもや、嘉門が眼の前に立ちはだかっているというのに、正面の出入り口から逃げようなぞとあの男も思わないはず。
 とかにく、他の方法がないのなら、一か八か試してみるのも悪くはないだろう。
 刹那、お民は布団に上半身を起こし、素早く立ち上がった。咄嗟に身を翻し、逃れようと試みる。
 ダッと部屋を横切り、襖に手をかけた。
「助けて、誰か、お願いです、助けてッ!」
 お民は助けを求めながら、襖を開けようとした。
 幸いにも襖を全開にし、転がるように廊下に出ることができた。
「誰かっ、助けて」
/217ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ