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第32章 願い事

＊

すべては世を変えるために。
シバが目指す国のために。
これまで自分のしてきたことが、間違いだとは思っていない。
だけど今、自分は罪人として流刑地に向かおうとしている。
（シバ様…）
死刑となったシバは今、どうしているだろう。
そんなことを考えていたレンカの目に、野次馬に混じってこちらを見ている、少年のような格好をしたリノの姿が映った。
おそらくは、流刑となった咬龍団を見届けに来たのだろう。
シバが泉で彼女を抱いていた時、冷静を装いながら、本当は嫉妬していた。
だけど、月明かりの下で絡み合う二人が美しくて、そんな感情はすぐに消えてしまった。