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第37章 葛藤

ここ数日、光燐村は女達を中心に、にわかにざわめいていた。
時間はまちまちだが、高貴な雰囲気を纏った若い男が毎日村を訪れるからだ。
高貴そうな上に、美青年。
未婚の村娘達は、男にあの手この手で近付いては気に入られようとするが、男は全てやんわりとあしらった。
それもそのはず。
男は、村の端にある家に一人で暮らす、新参者の娘にしか興味がなかった。
「なぜ、まだ私に構うのですか」
小さな畑の世話をしながら、リノが問うた。
勝手に王都を離れた上、先日はハクトの申し出を断った。
そんな自分に、なぜハクトはまだ声をかけてくれるのか。
リノには不可解だった。