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第38章 幸せに、生きろ。

「それは気にするな。お前をダイ家当主の養女とする手筈になっている」
「え」
ダイ家。
将軍であるクガ・ダイをはじめ、古くから優秀な武官を輩出する名門貴族だ。
そこの養女となれば、リノの身分は格段に上がる。
「お前を妃として迎えたいと望んでからすぐにダイ家に書簡を送り、養女について頼んでおいた。当主も嫡男のクガもやたら面白がっていたはいたが、快く了承するとの返答をもらった」
「…では」
「頭の固い連中も、ダイ家の娘であれば納得するはずだ。家柄については誰にも文句は言わせない。堂々と正妃を名乗れ」
「…は、はい」
多少強引ながらもハクトの手際の良さに、リノは圧されるように頷いた。
「ついでに」
ハクトが咳払いをして、リノを見た。
「後宮には、生涯他の妃を入れないことを約束する」
「…え」
「私の傍らにいる女は、リノだけでいい」
ハクトがリノの頬に手を添えた。
「末永く、私の心を守れ。私も、お前のことを何者からも守る」
「はい、……ハクト」
二人はそのまま唇を重ねた。