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みんな同じ空の下
第9章 出立前夜
リノに割り振られた捜索場所は南凪地方だった。
指定された出立日を翌日に控え、自室で支度をしていたリノを、ハクトが訪ねた。
「リノ、入っても構わないか」
邸の中なので、ハクトが遠慮なくリノの本当の名を呼んだ。
男装をしていても、邸の使用人たちやセン老師がリノと呼ぶので、邸内では基本的にリノの名で通していた。
警備局内ではキオの名を貫いていたリノも、邸内にいる今は呼び名に目くじらを立てることなくハクトを迎え入れた。
「ハクト、いかがなさいましたか」
「ああ、リノと話をしたかったんだ。支度しながらでいい。話せるか」
「はい」
ハクトがリノの正面で胡座をかく。
「…お前には、酷な事を言った」
リノに男装を解くよう命じたことを言っているのだと理解するのは容易かった。
「いいえ。潜入に至った時の危険を少しでも減らすために必要だということは解っています」
リノは優しく微笑んだ。
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