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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
 もうこれで、定市に指一本触れられることもないだろうと思うと、心の底から安堵感が込み上げてくる。時折、ふっとした隙に、徳松の笑顔が脳裏をよぎるけれど、徳松は既に遠い人であった。定市に穢され、あまつさえ、その子を身ごもった今、最早、徳松に合わせる顔すらない。
 お千香は未練を振り払うように、首を振った。
 その時、背後の襖が開いた。お千香は明るい声で言った。
「おみつなの?」
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