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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
 お千香の中で本能的な恐怖が渦巻いた。
「旦那さま」
 震える声で言うと、定市が近づいてきた。
「なあ、一度くらい構わねえだろう? こんなに元気そうになったんだ」
「でも、お医者さまがそのようなことはしてはならないと」
 お千香は、後方へ後ずさった。
 この男が自分の部屋を訪れたのは、やはり、お千香を抱くためだったのか。哀しみ、淋しさ、やるせなさがせめぎ合う。
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