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喘ぐなら、彼の腕の中で
第3章 不変と豹変


「俺は午後から外出するね。
改装が始まるから、テナントに直接行って見てくるよ」

「了解しました。
……あ、ではその後に…」

「今日はそのまま直帰する」


……えっ?


「だから今夜予定していた “ ミーティング ” は、延期にしようね。
振替えの日時については、後日改めて連絡するよ」


そう言ってニコッと笑った芹澤さん。
呆然とする私を残して、応接室へ向かって行ってしまった。


「……延期、ですか」


デスクに座り直して、手帳の印にバツを付ける。

……今夜はミーティングという名のデートをする予定だった。
決めたのは1週間前だから、やっぱり昨日の話が影響してるのよね。


(……振替は、本当にあるの……?)


あの笑顔に裏側があるなんて、知らなかったから
私が貴方の彼女じゃなかったのだとしても、せめてその理由を教えてほしい。


私よりも亜美を選んだ理由。
それを3ヶ月もの間ずっと内緒にしていた理由。


………何よりも聞きたいのは

恋人だと1人で勘違いしていた私とは
今後はもう、プライベートでは会ってくれないの……?


「……っ」


全身がゾクッとして、寒気がする。

亜美と付き合う芹澤さんと、ただの先輩と後輩に戻るなんて……

……寂しい。

そんな寂しい毎日、想像できないよ。



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