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喘ぐなら、彼の腕の中で
第14章 爆発


『……俺を信じて。
一緒に俺の家に来いよ』


沙月は何も言わずにじっと俺を見つめ返す。


……頼む、分かってくれ。

ドクドク鳴る心臓を抑えて、縋るようにそう願った。

俺には、お前を兄貴のもとに届けることくらいしか出来ないんだ。

兄貴と沙月が想いを遂げられなければ
俺はもう、自分が何の為に存在してるのか分からなくなる。


『……離して』


沙月が目を逸らした。
俺の手から逃れようとしている。


……俺はどう思われてもいい。

これ以上、兄貴にとって大切な人に
涙を流してほしくない。

あの真夏の日に犯した罪を、繰り返したくない。


『離さない』
『なんでよ!』
『離したら逃げるだろ?』


その言葉にカッとなった沙月は
力いっぱい腕を振った。


『離して!!』

『…………!』




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