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第14章 爆発

『……翔ちゃん、あたしが告白してる間。
絶対別のこと考えてた』

『……！』

『きっと他にもう好きな女の子がいるんだよ。
じゃなきゃ、あんな辛そうな顔、し、しないもん』


嗚咽と共に、その瞳からまたポロポロと涙が零れる。

……違う。

他の女のことを考えていたんじゃない。
きっと兄貴は、俺の事を……


『だから諦める。仕方ないもんね』


沙月は反対の手でゴシゴシと目を擦ると、俺に向かって笑ってみせた。


『……だめだ』

『え？』

『諦める必要なんて無い。
兄貴は、お前が好きなんだ』


沙月が怪訝そうな顔で見上げてくる。
俺は掴んだ手にさらに力を入れた。


『……なによ。こんな時にまで冗談？』

『嘘じゃねぇ。嘘つきはあいつだ』

『はぁ？ 莉央意味わかんない。
そーいうのねぇ、確か傷口になんとかって…』

『俺の話を聞けよ！』


大声を出したので、沙月はビクッと体を震わせた。

その目が悲しみと怒りで溢れているけど

必死さをなるべく隠すように、静かに沙月の目を見つめる。