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喘ぐなら、彼の腕の中で
第14章 爆発


高校から別々になって、俺と沙月はほとんど逢う機会が無くなった。
近所の集まりや、夏の海でたまに遭遇する程度。

沙月は兄貴への失恋が癒えると、すぐ次の男に惚れこんで
恋多きあの女は、毎回真剣に誰かに恋愛感情を持ち続けていた。

……その誰もが、俺とは正反対の男。


「……アホらし」


無意味な独り言を呟く。

そこまであからさまに興味がねぇと示されたら、こっちも自然に冷めるっつーの。

俺があの日以来、気を遣ってお前に触れないようにしてたの、全然気付いてねぇだろ?

こっちはいまだに残ってんのに、清々しいくらい沙月はケロッとしている。


「………」


俺はあいつを真っ直ぐ見ていたのに

あいつはいつも別の奴を真っ直ぐ見ていた


─── 前ばかり見ている、心の美しい沙月が

過去、ほんの少しでもどこかで振り返ってくれていたなら

俺はこんな歪んだ男にはならなかったかもしれねぇな ───



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