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喘ぐなら、彼の腕の中で
第18章 超ズルい


.。.:* side 翔太 *:.。.。.:**:.。.。.:**:.。.。.:*


「バカねぇ。
お兄ちゃんのあんたが泣いてどうするのよ」


防波堤のコンクリートに肘をつけて、俺の隣りに並ぶおふくろが笑った。


「……泣いてねぇよ」

「あらそう。
じゃ、これは必要ないわね?」


莉央と沙月の後ろ姿に目を向けたまま、顔の前にハンドタオルを差し出されたから
俺はひったくるようにそれを掴んで、顔に当てた。


……ちくしょう。
なんでこんなに涙が出るんだ。

三十路にもなって、母親の隣りで号泣するってありえねぇだろ。


記憶にある中で、泣いたことは過去に2回。

中学3年で沙月をフった時と
数年前、親友の結婚式に出席した時。

どちらも豪快に泣いた気がするけど
弟の真の笑顔を見たこの感動は、比べ物にならない程俺の胸を熱くしていた。




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