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わざとじゃないの
第13章 現実逃避
私は直樹を直視することができず、

下を向いたまま言葉を受け取った。


本当はそう言われて本当に嬉しい。

でも、やっぱり罪悪感はあるし、

自分でも嫌になるくらい嫉妬もしている。


完全なる矛盾。


そんな自分にもイライラする。



「理央?」


直樹が心配そうに私の顔を覗き込む。


私は笑顔で答えた


「ありがとう、直樹」


言わなくては。


直樹が私に打ち明けてくれたように、

私に信頼しろと言ってくれたように、

私も長瀬先輩について言わなくては。



「あのね」


私は重い口を開いた


「長瀬先輩と私のこと、直樹にはキチンと話す。

ちょっと信じがたい出会いなんだけど、嘘じゃないから、最後まで聞いて欲しい」


「うん。理央のこと疑ったりなんてしねーよ」


私は思わず微笑んだ。


私は直樹のこういうところが大好きだったんだ
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