この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第30章 予感
 

 被りものでもしているのかと、膨れている頬を摘んでみれば、それは大仰にも聞こえる絶叫を上げた。


「お嬢!! そこは痛いんだよ、なにするのさ!!」


 被り物ではないようだ。

 その目が涙で潤んでいる。


「ごめんなさい……。その声はイルヒよね? 変な伝染病にでもかかったの!? 具合悪い!? 熱は!?」

「病気じゃないよ!!」


 被り物ではない可能性を考えれば、病気としか考えられないユウナに、イルヒは分厚い唇を尖らせ、あぐらを掻いて床に座る。

 ユウナはその前に屈んで、イルヒに耳を傾けた。


「化粧をしたんだよ。テオンに可愛いと思われたくて。母さんの白粉をすべて顔につけて、頬紅もさしたのに、唇にさす紅だけがなくて。ちょうどいい赤い粉を見つけて塗りまくったら……唐辛子だったんだ」


 それが唇が、いつもの三倍ほど膨れあがっている理由。


 イルヒはぐすりと鼻を啜る。


「じんじんが少しよくなったから、寝ているテオンのところに行ったら……テオンが白いお化けと間違えて、あたいのほっぺに思いきりビンタしたんだ。両頬往復……3回」

 それが頬が腫れている理由。

 テオンも、白い顔の……腫れ上がった赤い唇を持つものに、寝込みを襲われれば、かなりの恐怖だっただろうとユウナは思う。



/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ