この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第33章 出芽
 

「ああ、蒼陵にリュカというのと、皇主の三男とか言うのが来た年だったね、そういえば。お兄さん、おかしなところで驚異的な記憶力あるよね」


「黙れ」


 リュカと結婚が決まったのも一年前。それをあえてサクが口に出さないことを感じ取ったユウナは、ふと口にした。


「皇主の三男?」

「ああ、姫様はあの時いなかったから、聞いてませんでしたよね。皇主の三男って……」


「忘れてたわ」


 ユウナは口を押さえて、シバを見た。


「シバ! あれ以降、スンユを見た!?」

「いや、そういえば……」


「姫様、知ってるんですか? シバも」


「知っているもなにも……サクとテオンが青龍殿に行っている間、スンユが来たのよ、【海吾】の根城に。まあ怪我をしたのを、【海吾】の皆が引き上げてきて、手当をしてあげていたんだけれど……。サク、なんとね!」


 サクはユウナの言葉を先に悟った。


「リュカにそっくりだったんでしょう?」

「そう、そうなの! なんでわかるの、サク。スンユには会っていないはずなのに」


「ああ、蒼陵の一年前、リュカとスンユがテオンの親父……祠官とジウ殿に会いに来たらしいんです」


「まあ、なんで?」


「話は長くなるんで、取引ということにしときます。リュカとスンユは同じ顔ながら、それぞれ違う主張をしたんです」


 リュカの名前を出す度に、サクはユウナを見つめる。リュカに惑う心が本当にないのかと。……そして嫌になる。自分の器の小ささに。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ