この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第36章 幻惑
 
「ユウナ?」

 口づけあえば身も心も蕩け、この愛は本物だとわかるのに。


――ナンジガノゾムセカイダ。イツマデモイタイダロウ?


「ユウナ、なにを考えている?」


 どこからどう見てもサクだ。
 だけど、ひとつになることを拒む自分がいる。


――エイエンナルトキヲヤロウ。ウタガイヲナクスノダ。


 サクが好きだから、サクに抱かれてひとつになりたいのに。
 心の奥で、やめろと誰かが泣いているのが見えた。


――ナニモミルナ、ナニモキクナ。


 〝ヤメロォォォ、ヒメサマァァァァ〟


 サクだ。
 あの禍々しき赤き月夜に、四肢を折られたサクだ。


「ユウナ、俺のことが好きだよな?」


 ……しかし、そのサクが目の前にいるサクに繋がらない。


――メノマエノ、ナンジガモトメルソンザイダケヲシンジヨ。


「俺もずっと昔から好きだ。だから、ひとつになろう」


〝これは……意地悪ではありません。……しては駄目なんです〟


 違う。
 あたしのサクは。


〝……俺の願願掛けなんです。唇は、姫様の心が俺に向いた時に。その時までは、しません。……どんなに、したくてたまらなくても……〟


 あたしのために命を賭け、あたしの心を望んだ彼は、口づけに願をかけるとそう言った。

/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ