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吼える月
第14章 切望
 

――父上~。


 サク。


――親父。


 サク。



――俺はまだまだ親父に教わりたいことあんだ。だから……息災でいてくれよ。両腕両足切り取られても、絶対生きていろよ。



「――っ」



 俺は――…生きねば。



――武神将であろうがなかろうが……一番尊敬する親父には変わらねぇ。だからどんなにみっともない姿さらしてもいい。生きていてくれ。お袋と一緒に……。



 サラと生きねば。



――俺は……親父が恥じねぇ男になってみせる。親父あっての息子だと、あの親父を超えた武神将だと、絶対他から言わせてみせる。




 サクと約束したから。

 サラと、生きて再会することを。



――親父。俺の親でいてくれてありがとう。



 ハンの目が好戦的に瞬く。



「ほぅ、余とどうやって戦うつもりだ。そこまで苦しみたいか」


 たとえ、敵わぬ敵であろうとも――


 サクと約束した。

 サラと約束した。


 共にある、輝かしい未来のために。

 生きてこその、未来を――。



「俺は……サクに、弟か妹を……残すんだよ」



 ハンは笑う。

 泣きながら笑う。


 強がりのような、挑発をしているかのような表情で。



「ならばそれは無理だな。見せる者も此の世になければ、見せられる者も此の世にはいない。お前の未来は……絶望と虚無」


「サクに魔の手を差し伸べると……言うのか!?」


 男は意味ありげに笑った。


 ならば――。
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