この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第14章 切望
 
「なぁ、サラ。俺は……武神将として、サクの父親として、お前の夫として。……恥じねぇ生き方をしたい」


 サラは切なそうにハンを見る。


「サク……に恥じない生き方……」


 そして彼女はよろよろと立ち上がり、ハンの横に立つ。


「サクを……護りましょう」


 少しでもこの男を引き留められるように。

 共に可愛い息子のために。


 夫婦として、愛し合った証を護るために――。



 ハンは落ちていた大刀を構え、サラは薙刀を構え、



「愛してる」

「私も」



 顔を見合わせて唇を重ね合わせ、ふたりで向き直る。



「愛する息子を……殺させない」



 金の男は笑う。

 その妖艶の顔を愉快そうに歪ませて。


「元武神将夫妻、そんなよろよろで余になにが出来る。立つのが、精一杯のくせをして」



――親父……。



「愛など――弱き者達がほざく戯言よ」



 一瞬、金の瞳に過ぎるのは――激しい憎悪。



――親父、聞こえるか親父……。



 ハンは静かに目を瞑り、頭に響く息子の声を聴き……




――親父達は、俺が護る。


 馴染みある気配を感じた。



 そして――。



「な、なんだ、この音は……」



 なぜか狼狽え始めた男に、ハンはゆっくりと目を開き言った。

 その表情は……状況にそぐわぬほどに、嬉しそうなものだった。


 今まで見せていた太陽が突如翳り、暗雲が立ちこめる空。

 遠くで雷鳴が聞こえた。


 ぽつぽつ……。


 雨滴が落ちてくる。




「愛を信じぬ男に、教えてやろう。

愛とは巡り巡るもの」





 ゴォォォォォォォ。




 そして――




「この音は――愛が紡いで奏でる"海鳴り"だ」




 竜巻状に渦を巻いた水が遠くより近づいてくる。

 ハンはそこに、玄武の力を感じた。


 短期間でもう玄武を懐柔したのか、サク――。


 息子の成長と潜在能力に嬉しさを隠しきれないハンは、豪快に笑うと……怯えた表情を見せ始めた金の男に言い放つ。


「お前は神獣が苦手のようだ。

武神将の息子の力、とくと受けよ」


 息子だけではない――。



「元玄武の武神将と、元朱雀の武神将――

――参る」



 ハンとサラは、武器を振り上げ……男に駆けた。


/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ