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第21章 信愛

　　


　しめやかな空間でなされる密戯――。

　外界から隔離されている室内、淫らな音だけが蔓延する。


「ぁ……、や……んふ……ぅ……っ」


　耳朶をねっとりと攻めるサクの舌。舌先で耳の裏側を舐め上げると、ユウナがぶるりと震えて、か細い声をだした。

　ユウナが身じろぎした瞬間、サクは熱い息を吹きかけながら、耳殻の表側をべちゃべちゃと音を立て、責め立てた。

　大きく反響する淫らな水音。

　官能的な表情で恥じらうユウナに煽られ、サクはぬるりとした舌を耳の穴に滑り込ませると、細く尖らせた舌先をくねらせ、耳壁を優しくなぞるようにして抜き差しさせる。


「ひゃ……んっ」


　びくびくとして仰け反るユウナを満足気に見ながら、舌先でつつ…と蛇行するようにして下に滑り下り、時折舌全体でべろりと舐め上げる。


「や、サク……あ、ああ……っ」


　緩急付けた舌の動きに、ユウナは都度可愛く反応し、涙目でいやいやと身じろぎするのだが、その仕草に煽られるだけのサクは、横抱きにしたままユウナを寝台に寝かせると、自らも斜めに体を沈めていった。



「姫様……。姫様……っ」



　鎖骨付近を愛撫しながら、ユウナを熱く掠れた声で求めては、サクはその柔肌をちゅくりちゅくりときつく吸い、赤い華を咲かせていく。


「ん……姫様っ、俺の……っ」


　熱い息を乱しながら、一心に肌を愛撫して自分の痕跡を残そうとするサクの顔は、艶を交えながらもどこか悲壮で、どこか焦慮に駆られた切迫感に満ちていた。



　自分のものだと主張しているように、強靱な両腕でしっかりとユウナを抱くサクは、横から覆い被さるようにして性急にも思える愛撫を続けた。

　ユウナを支えるその手すら、あますことなくユウナを愛したくて仕方がなく、無意識にいやらしく動き出していた指先に気づいたサクは、心で苦笑する。



　愛撫するに至らせたきっかけは、嫉妬と不安による衝動だ――。



　ユウナにどんな男の影も寄せ付けたくない。

　ギルやシバだけではない、リュカもだ。