この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第21章 信愛

「どうしました?」


 耳が、熱い――。

 いつもいつも自分の傍にいてくれたサクの、まるで体の一部のように自己主張していたそれが、今、自分の耳もとで揺れている。


 サクが、居る――。

 他の場所ではなく、自分のところに居る――。


「姫様?」



「サク――っ」


 思わず両手を拡げて、逞しい胸元に抱きつけば、サクは困ったような顔で、嗚咽を漏らすユウナの背中を撫でた。



「どうしました、姫様」

「ごめんなさい、涙が止らないの」


 感動という情を超えていた。

 込み上げるこの感情をなんと名付けていいのかわからない。


 とにかく嬉しいのだ。

 サクが、自分と共に居てくれることが。

 

「俺は、姫様のものですからね」


 そう自分を抱きしめながら、嬉しそうにサクが囁いた。


「俺を傍に置いて下さい」


 ユウナの胸がさらに熱くなり……、返事が出来ずにただ泣きながら、こくこくと頷いた。


 それを見たサクが、ユウナの額に唇を落とす。


「姫様と、巡り会えて……本当によかった」



 なんでサクは、こんなに泣かせるのだろう。

 ユウナはサクの首根に両手を回して抱きつきながら泣いた。


 ぽんぽんぽん。


 あやすような優しいサクの手が、背中と頭で動いている。



 ありがとう、なにもないあたしに尽くしてくれて――。



 それを言いたいのに、熱く乾ききった喉からは言葉が出て来ず、ただサクにしがみついてユウナは泣きじゃくった。 


 
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ