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第21章 信愛

　



　平常心が保てない――。


　サクは内心、予定外の展開に狼狽していた。


　今までユウナと肌を合わせたどれもが、自分が"治療"を施す必要がある外部的起因による発情結果のもので、半ばユウナの理性が翳っている場合が多く。

　今、イタチの暗躍という裏起因はあるにしても、こうして、特別な理由はいらないというユウナの確固たる意志が見える状況で睦み合った記憶がなかった。


　どちらかと言えば自分の押しの強さに負けて流されていたような節があったのに、今のユウナは初めて肌を合わせるように、やけに興味津々と……それでいて妖艶な表情で、自分の身体を検分してくる。

　それでなくともユウナの肌を感じたい男の"攻"の心を抑えている時に、焦らされているようにユウナ優位に進められ、当初それは初々しいと微笑ましく思っていたけれど、ユウナの手の動きが微妙に変わるにつれて、サクには甘い拷問となってきた。


　そしてなにより――

　なんなのだ、自分の身体は。


　多少の刃物で身体が傷ついても平気に振る舞えるのに、色街の女がしてきたことにはまるでなにも感じなかったのに、肌に触れるのがユウナというだけで、ここまで身体が敏感に反応するとは。

　特に胸の頂きを戯れられれば、必死に押し殺す男の情がその象徴たる肉棒に芯を与えて、疼く。


　それだけではない。


　手淫をするユウナの顔が、逆に愛撫をなされたように妖艶となり、感じているような顔で息を乱して、腰を揺らし……秘部を足になすりつけてくる。


　その動きに自覚がなさそうなだけに、どちらがどちらを愛撫をしてどちらがそれで感じているのかわからなくなってしまうのだ。