この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater18.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第26章 接近
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
「はああ!? なんでそこで予言を持ち出す!?」
「だから答えた、幾らでもその通りにすると」
「言ったのかよ!!」
「ああ、勿論」
……祠官は思った以上に子煩悩だったらしい。
テオンは頭を抱えている。
いや、問題はそれだけじゃない。
「なあ、"凶々しい予言が真実になった後、黒陵の後、蒼陵は滅びる"そう言ったのか、その女!!」
「ああ、そうだ。だがそんなことはありえないと思ったから、私はとにかく彼女を急かした……」
「テオン、お前病気にかかったの何年前よ?」
「え……と、今から20年はまだ経っていないと……」
「20年も経っているのか!?」
「いや、まだそれほどは……」
「20年前に、予言のことはともかく、黒陵が滅びるって!?」
「……だから20年までは……」
「なんだよ、それ!! なんで20年前にそんなことわかってるんだよ!! 俺達が知っていたら、もっと早くに知っていたら!!」
サクはダンッと床を拳で叩いた。
「黒陵は、祠官は、親父はっ!! 死ななくてもすんだだろう!?」
もしもリュカの裏切りまでもが事前に知れたのなら。
なんでその女は黒陵ではなく、蒼陵に行った?
どうしてわかっているのなら、黒陵で警鐘を鳴らさなかった!?
「――くっ!!」
しかしサクはわかっていた。
悪いのはその女ではない。誰よりリュカの近くにいた自分が、リュカの心の闇に気づけなかったこと。そう、悪いのは自分なのだ。
わかっていれば、ユウナは苦しまずにすんだのだ。
手遅れになる前に、リュカを更正させられたはずなのに!!
そうすれば、祠官だけではなく、ハンまで失わずにすんだのに!!
![](/image/skin/separater18.gif)
![](/image/skin/separater18.gif)