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吼える月
第26章 接近
 

「はああ!? なんでそこで予言を持ち出す!?」

「だから答えた、幾らでもその通りにすると」

「言ったのかよ!!」

「ああ、勿論」


 ……祠官は思った以上に子煩悩だったらしい。

 テオンは頭を抱えている。

 いや、問題はそれだけじゃない。


「なあ、"凶々しい予言が真実になった後、黒陵の後、蒼陵は滅びる"そう言ったのか、その女!!」

「ああ、そうだ。だがそんなことはありえないと思ったから、私はとにかく彼女を急かした……」

「テオン、お前病気にかかったの何年前よ?」

「え……と、今から20年はまだ経っていないと……」

「20年も経っているのか!?」

「いや、まだそれほどは……」

「20年前に、予言のことはともかく、黒陵が滅びるって!?」

「……だから20年までは……」

「なんだよ、それ!! なんで20年前にそんなことわかってるんだよ!! 俺達が知っていたら、もっと早くに知っていたら!!」


 サクはダンッと床を拳で叩いた。


「黒陵は、祠官は、親父はっ!! 死ななくてもすんだだろう!?」


 もしもリュカの裏切りまでもが事前に知れたのなら。


 なんでその女は黒陵ではなく、蒼陵に行った?

 どうしてわかっているのなら、黒陵で警鐘を鳴らさなかった!?


「――くっ!!」


 しかしサクはわかっていた。

 悪いのはその女ではない。誰よりリュカの近くにいた自分が、リュカの心の闇に気づけなかったこと。そう、悪いのは自分なのだ。

 わかっていれば、ユウナは苦しまずにすんだのだ。

 手遅れになる前に、リュカを更正させられたはずなのに!!

 そうすれば、祠官だけではなく、ハンまで失わずにすんだのに!!
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