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甘く、深く、繋がって
第14章 疑心暗鬼
『好きだよ』

っ!?

『愛してる』
甘く柔らかな声に胸がドキドキする。
『真純だけ、だから』
続いて聞こえてきた言葉

……私、だけ

常套句だと言われても、斎藤さんから直接言われるとやっぱり嬉しくて、その言葉が欲しかった事に気が付いた。キュッと苦しくなって、携帯を握り締める。
『俺の事、待ってて?』
優しい誘いにドキドキは増していく一方で

どうしよう……
すごく……すごく、嬉しい……

「……は、い」
辛うじて返事を返す。
『うん。一緒お風呂、入ろうね』
「……はい」
ふふっと斎藤さんが笑う。
『行ってらっしゃい』
「行って、来ます……」
通話を切ってしばし、動けない。
斎藤さんの『好き』が『愛してる』が私を包む。心がほわっと暖かい。
言われた瞬間、ふと感じた違和感。それをすっかり忘れさり、私は幸せな気分に浸っていた。

大丈夫。
斎藤さんは私を大事に思ってくれている。

自然に顔に笑みが浮かぶ。ふわふわと気持ちが良い。

手早く支度を済ませ、コートを羽織った。
玄関から出て冷たい空気に包まれて、何時もなら震えそうなのに今日は清々しい。私は上機嫌のまま仕事へ向かった。
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