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甘く、深く、繋がって
第15章 守りたい
そっと押されて歩きだす。

どう、しよう……
本当に、斎藤さんが頼んだの?
それならそうと、どうして連絡が来てないの?

戸惑う私に桐生さんが歩みを止める。
「ご心配でしょうから、やはり確認なさって下さい」
再び差し出された携帯電話。画面はすでに斎藤さんへ通信を開始している事を示していた。
『はい』
通話に画面が切り替わり、桐生さんに携帯を渡された。
『おはようございます』
聞こえてくるのは、事務的な斎藤さんの低い声。ニコリと笑顔で促され、ゆっくり携帯を持ち上げた。
「も、もしもし」
『……真純?』
ふわりと声が柔らかくなった。
その些細な変化にドキッとする。
『あぁ、桐生さん迎えに行ってくれたんだ』
「……は、はい」
『ごめんね、本当は俺が行ってあげなきゃいけないんだけど』
少し落ちた口調に急いでお礼を伝える。
「いえ、あの、気を遣っていただいてありがとうございます」
『いや、そもそも俺のせいだから』
斎藤さんが一旦言葉を切り
『何かあったら、教えて?』
少し声のトーンを抑えて念を押される。
「はい」
小さく頷いて無意識に携帯を握り締めていた。
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