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甘く、深く、繋がって
第15章 守りたい
大丈夫、大丈夫……

『行ってらっしゃい』
ふっと甘くなった声にまたドキッとする。
「はい。行ってきます」
ほんの少し言葉を交わしただけなのに、心がじわりと暖かい。
携帯を返すと桐生さんは斎藤さんに状況を説明して通話を切った。
「行きましょうか」
コートのポケットに携帯をしまい、ニコリと笑う。優しい笑顔に誘われて桐生さんの隣に並んだ。
来客用の駐車場には黒いミニバン。
後部座席のドアを開けてくれたのだけど、桐生さんを送迎の足に使ってるようで躊躇する。
「後ろの方が、僕が助かります」
柔らかな笑顔で促され、桐生さんに彼女さんがいる可能性に思い当たった。
「スミマセン、ありがとうございます」
お礼を言って乗り込むと、高い電子音がしてドアが閉まる。桐生さんが運転席へ乗り込んできた。
「結システムの会社の前で良いですか?」
「は、はい。あの、でも本当に良いんですか?」
こんなに早くに申し訳なくて、聞いた私に桐生さんは
「大丈夫です。その為に来ましたから」
バックミラー越しにニコリと笑って、車が道へ滑り出した。
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