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五十嵐さくらの憂鬱。
第10章 …10
樹からマンションに来るよう
呼び出しがあったのだが
さくらは応答しなかった。
熱いシャワーを頭から浴びて
気持ちをスッキリさせたかった。

お風呂から出ると
着信が5件入っている。
さくらのスケジュールを完璧に把握している樹は
バイト帰りの連絡がなくて心配したらしい。

無音だと、どんどん気持ちが沈んでゆく。
テレビをつけて、
わざとバラエティー番組を流した。

『…セフレよ!』

真綾の高めの声が耳にこびりついて離れない。
もし、もし本当にそうだとしたら
自分はなんてとんでもない勘違いをしていたのだろう。

「…恥ずかしい…」

確かに、今思えば、
“俺の女”としか言われていない。
つきあう、の文字は今の樹とさくらの関係で
出てきていない。

副部長に嫉妬したり
樹からの連絡に安堵したり
樹の優しさに嬉しくなったり
与えられる快楽を貪ったり…。
もし、これが大勢の“俺の女”に平等に与えられていたとしたら。

「…私が、勝手に彼女って思ってただけなの…?」

さくらの目から涙が出てくる。
その時、部屋のチャイムが鳴った。
驚きのあまりソファから飛び上がり
そこに置いてあったカバンに蹴つまづき
さくらは慌ててドアの覗き穴を見た。

「……先輩!?」

その声があまりにも大きかったため
ドアの外にいた樹にも聞こえたらしい。

「さくら。いるなら開けて」

少々ご立腹の様子だ。

『つきあってくれって言われたの?』

真綾の声がまたもや聞こえる。
さくらは怯えた。

「い、居ます…でも…体調悪くて…」
「じゃあ、開けて」

じゃあの意味がおかしい。

「あの、風邪だと思うんです。
移しちゃうと困るから…」
「開けろよさくら。それとも、ドア壊して欲しいの?」

壊しかねない。
さくらは別の意味で怯え
ゆっくりと鍵を回す。
回し終わって、カチャンという音がするかしないかで
ドアが引っ張られて樹が押し入ってくる。

「……あ、の…」
「なんで、連絡しない」

怒りを通り越しているらしい。
樹の冷めた表情と反対に怒りに燃える目線が怖くて
見れないままに後づさった。

カチャン、と樹が鍵を締める音。

「えっと…その…」

樹が1歩部屋の中に入り、
さくらは2歩下がる。

「あの、ですね…」
「風邪だって? の割りには元気そうだな?」
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