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五十嵐さくらの憂鬱。
第20章 …20
「進学するんだ」

「ちょ、どういうこと…」

その声を樹の唇が塞ぎ
「そのままの意味」
と言ういたずらっぽい言い方と
ニヤニヤした笑みを最後に
さくらの意識が飛んだ。

樹のもたらす
深い快楽に溺れ
そこから目が覚めた時には
隣に綺麗な顔の樹がスヤスヤと寝ていた。

手と足の拘束はとかれ
月明かりだけが窓から差し込んでくる。

「先輩、進学って…」

さくらが呟くと
樹がパチリと目を開けた。
手が伸びてきて
さくらの頬を撫でる。

そのまま、優しく頭を撫でられると
またもやまどろみの中に
引き込まれそうになった。

「さくら、あと2年一緒だ。
大学院まで進学する」

「どうして?」

さくらの声がかすれた。
驚きと、そして、嬉しさ。
もう少し一緒に居られる。
それも、学内で。
そう考えただけで
さくらの心が弾んだ。

「そんなの決まってる」

いじめるためだよ。
ニヤリと笑ったかと思うと
樹は素早くさくらの唇を奪い
そのまま馬乗りになって敏感な耳と首を責め始める。

「まって、先輩、さっきしたばっか…!」

そのさくらの抗議が受け付けてもらえることはなく
またもや樹のもたらす快楽に
深く深くさくらは落とされた。

朝日が出てきた頃に
やっと樹がさくらを解放した。

さくらの身体中に
樹の愛情の印が刻み込まれている。
冬になった途端
見えないからと言って
身体中に刻印を刻まれるようになった。

つけられるときはむず痒く
所によってはチクリと痛い。
やっと消えてきたかと思うと
またもやつけられてしまう。

特に、敏感な首筋は
愛撫が行き過ぎて
刻まれてしまうこともあるため
さくらはこの冬
タートルネックを着るしかなかった。

またもや刻まれた刻印を見て
ぼうっとしていると
樹がさくらを強く強く抱きしめた。

「さくら、絶対に離さない。何があってもだ」

だから、覚悟しろよ。
樹は深く口づけする。

「4月からも、校内でたっぷりいじめてやる」

「え、ちょっ…!」

その最後のいとしさと満足そうな一言に
さくらは絶句したあと
ため息をついた。

「もう…」

さくらはまだまだ続く
官能的で甘く、そして激しい日々を想像して
ため息をついた、

さくらの憂鬱は
まだ暫く続きそうだ

それを知ってかしらずか
樹は安らかに満足そうにさくらの手を握ったまま
寝てしまった。
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