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五十嵐さくらの憂鬱。
第2章 …2
「おだ…ぶつ!?」

小春はまじめぶって
首を細かく縦に振る。

「しかも、父親はデザイン事務所の社長!
本人もデザインでは抜群の才能があるらしくて
色々なコンペで賞とってるらしよ。
弓道のもと国体選手で
県内1のちょう大手企業から
内定もらってるらしい」
「すご…」

とんだ曲者のようだ。
まぁ、見ていればわかるというかなんというかだが。
ものすごい美形ではないのたが
整った顔立ちとなめらかな立ち居振る舞い、
人を惹きつける独特なオーラがある。

「んでもってね…とーーーーーっても
女好きらしい」
「はいっ!?」

さくらはココアでむせた。

「まとめると、元ヤンのもと国体選手で
デザインのセンス抜群な女好き」
「……最初と最後がなければ最高だね」

2人でくすくすと笑った。

「なんでそんな人の名前が出てきたの?」
「…あ、いやぁ…」

とても、襲われたとは言えない。
あんな、淫らになった自分が恥ずかしく
耳が熱くなったところで思い出した。

「イヤリング!
落としちゃったの、拾ってくれたんだ」

それに小春はへえー、と感心する。

「気をつけなよ、さくら。
元ヤンで、バットで人殴ったとかコンビニのガラスに突っ込んだとか、
町中を引きずり回して人殺しかけたとか聞くよ?」

さくらは、固まった。
言葉さえ出せずに、小春を見つめる。

「とりあえず、しこたまお礼しておいた方がいいよ?」

小春の忠告は、一瞬でさくらの脳髄まで響き
とんでもない人にイヤリング見つけてもらったな、と
本気で後悔した。
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