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五十嵐さくらの憂鬱。
第3章 …3
「耳、弱いだろ」
「あ……」

舐められれば、無条件に身体が反応する。

「嫌なのに、触られたくて
こっちに突き出してきてる…。
無意識かな?
相当、欲求不満なんだ?」

耳のつけ根に吸い付かれ
さくらは小さく悲鳴をあげた。
首筋を舌先でチロチロと舐められ
ぐ、と吸い付かれては
舌先でまた敏感な所を丁寧になぞられた。


「本当に大切なんだな、このイヤリング」

ぽつりと、樹がつぶやいた。
光輝にもらった唯一のプレゼントだ。
さくらは急に胸が苦しくなって
樹を見た。

樹は、少し怒ったような瞳で
さくらを見下ろしていた。
怖い、とさくらは思う。
その時、彼の右手がすっと太ももを撫で
つけ根のラインに触れーーーぐい、と親指を押し込んだ。

「やぁっ!」

身体が自分のものではないみたいに跳ねる。
くすぐったさと快感が押しよせて
腰がいやらしくしなる。
それを見て、樹はニヤリとしながら
指から力を抜き、また力を入れ、
というのを繰り返した。

さんざん弄ばれただろうか。
下着の線をなぞられるだけで
さくらの身体は小刻みに震えるほど
敏感になっていた。

「さくら。もっと感じたいって言ったよな」

肩に乗っていた左足を地面に戻された。
解放された両手には力が入らない。
さくらの少し開いた唇の輪郭を樹は指でなぞる。
そのまま、樹の両手の親指が
さくらのつけ根にぐいと強く触れた。

「や…、やだ、あ…っ!」

腰がビクビク持ち上がり、
艶かしく動いた。

「もっと感じる身体になりたいって言っただろ?」

その親指が少しスライドするだけで
さくらの芯がじわりと疼く。

「俺が変えてやるって言って
お前が、よろしくお願いしますと承諾したんだ」

契約だな。
そう樹がつぶやき、さくらの口を、自分の口で塞いだ。

「これからこうやって毎日、俺が開発してあげる」
「ん…あっ!」

さくらの頭はいっぱいいっぱいだった。
押し寄せる快楽に、頭がおかしくなりそうだ。
と、樹が手を止めた。
さくらは息が上がり、まともに動けない。

「お礼は、感じる身体になるまで、俺の言うことを聞くことだ。
彼氏と、気持ち良くなりたいだろ?」

さくらはぼうっとする頭でうなづき
樹はにっこりと、天使のように笑った。
さくらの、甘く疼く憂鬱な日々が
幕を開けた。
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