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五十嵐さくらの憂鬱。
第4章 …4
結局さくらも課題に疲れて
机に突っ伏して寝ていた。

頭と肩、机に押し付けられたお腹が苦しくて目が覚め
まだ寝ている光輝を置いて
近くのスーパーに買い出しに行き
適当にパスタを作っていた時に
やっと光輝は目が覚めた。

窓の外はすでに夕焼けが始まり
紅く色づく太陽が人々の1日の終わりを照らしていた。

「起きた?」

それに光輝は大きなあくびで応える。

「お腹すいた?
パスタ作ったけど、食べれる?」
「いい匂い…食べる…」

キッチンに来てさくらに後ろから抱きつくと
フライパンをのぞきこんだ。

「明太子パスタ…光輝、好きだよね?」

バターの香りが食欲をそそる。
しょうゆを少したらして
お皿に盛りつけた。

1本タバコを吸い終わってから
2人で並んでご飯を食べた。

「うん、美味しい」

光輝に褒められれば
素直に嬉しい。
出かけられなくても
寝ているだけのデートでも
ぜんぜんいいやと思ってしまう。

バラエティー番組を見ながら
食べ終わる頃にはとっくに日も暮れて
すっかり暗くなっていた。

さくらが食器を片づけると
光輝はカーテンを閉めて
タバコを片手にゲームを始めた。

片づけ終わったさくらが抱きつくと
光輝はとりあえずゲームをクリアさせて
パタンと画面を閉じた。

テレビから大きな笑い声が聞こえてきて
それをかき消すように
光輝と唇を合わせた。

ほんのりと、タバコのにおいがする舌。
絡めて、吸い付く。
ちょっと乱暴だが、求め合うキス。
歯が当たっては微笑んで
舌をもっと出して絡まり合う。

さくらは布団に押し倒されると
抗うことなく身体を沈みこませる。
覆いかぶさるように光輝がキスを降らせた。

突如、耳に樹の声が蘇る。

ーーーいい。さくら。よく聞いて。
光輝くんとキスしている時、
俺とのキスを思い出して。
気持ちいい感覚を思い出して。
そうしたら、きっと、
光輝くんとのキスも気持ちよくなるよーーー

樹に見られているような気がした。
目をつぶると
樹とのキスの味が思い出される。
今キスしてるのは樹じゃないのにーー。

「ん…ふ…」

急に身体が熱くなって
さくらは喘いだ。

光輝がさらに奥の方まで舌を入れてきた。
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