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第5章 月への道を

仮装する日の朝、ユウイチを棺に入れた。
いよいよユウイチの亡骸を荼毘に伏す日が来てしまった。

「お義父さん、ああ！お義父さん！嫌よ。別れたくないわ。あああ…」
りえは棺に入ったユウイチに向かい泣き叫んでいた。

「りえ…」
タクヤはりえを抱き抱え、ユウイチの入った棺を車に入れて貰った。


火葬場で最後の別れの時、りえはもう泣く力もなく
立っているのが精一杯のようだった。

タクヤはりえを支えながら
ユウイチに最後の別れを言った。

「りえと子供達は俺が守るから、安らかに眠って下さい。」

火葬の扉が開き、ユウイチは中に入れられた。

りえは首を横に振りながら倒れ込んだ。

「りえ…そんなに悲しんでいたら、親父が成仏出来ないよ。」

「幽霊でもいいから…幽霊でも…私の傍にいて欲しいよ…あああ…お義父さん。。。会いたいよ、お義父さん。」

りえを抱き抱え、控え室に行った。

控え室でりえは隅に座り一人遠くを見つめていた。

子供達は母親を心配しジュースやお菓子を持って
りえの前に置いた。

りえは子供達に気づき、頭を撫でた。

子供達も母親の頭を撫で
「ママ、泣きたい時はいっぱい泣いていいんだよ。我慢しなくていいんだよ。」
ユウヤが言った。
「お義父さんがユウヤとユウナに言ったのよ。」
ユウナが言った。

りえは再び涙が溢れ出した。

その光景を見ていたタクヤも涙を溢れさせ
新井も、その様子を見ていた人たちもみんな涙を流していた。