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第5章 月への道を

りえは頑張れる勇気が出た。

ユウイチの残してくれた子供達をちゃんと育てないといけないと思った。

沢山のストレスがりえの心を蝕み
死へと導いていたのだった。

最初からタクヤとは分かり合えない関係だった。
分かり合えずに、分からないままに、ただお互いに求めていただけだった。

タクヤと目をずっと合わせていなかった。
必要最低限の会話だけしていた。


「タクヤくん…私、家を出ます。」

りえはタクヤに一言伝えた。

タクヤは驚いた顔をし
りえの肩を掴んだ。

「何故？」

「あなたといると苦しいの。タクヤくんは私といて苦しくないの？」

「…。」

タクヤは背を向け、ジャケットを取った。

「タクヤくん？」

「仕事…いかなくちゃだから。」

タクヤはりえと向き合うのが怖くて逃げ出してしまった。

「タクヤくん…もう、私と話しもしたく無いの？」

りえは、家を出る決心を、固めた。