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Moon road〜月への道
第5章 月への道を
ツトムはりえを事あるごとに誘ったが、りえは子供がまだ小さいので早く家に帰らないとならないと言い、断っていた。

ツトムの会社の建設の打ち合わせの際、合間のランチは一緒に取る事もあった。
彼はその時にりえを口説いていた。
周りに会社の人間がいても…


ツトムは愉快だった。
人望も厚く、多くの人に慕われていた。
会社が大きくなったのも分かる気がした。

ツトムのりえの呼び方は
りえさんからりえちゃんになっていた。


そんなツトムにタクヤは危機感を抱いていた。

りえはまだ離婚届の撤回を申し出ていなかった。
タクヤは役所に離婚届はまだ提出していなかったのだ。
離婚届は提出する気持ちはさらさらなかった。


りえは離婚を迷っていた。
タクヤの事は今でも好きで愛している。
だが、自分はタクヤの父親のユウイチも愛してしまい、
タクヤに我慢を強いてしまった。
ユウイチが亡くなった今、りえの人を愛する気持ちが、その人を失った悲しさと苦しさを、もう二度と味わいたく無いと思っていた。

タクヤが離婚届を出してくれたら、楽になれるのに…
そう思いながらも、
タクヤは今でも自分を愛して求めてくれる事に安心していられた。

矛盾する自分の気持ちにりえは疲れていた。

そんな時にツトムの愉快で広い心はりえを和ませてくれるのだった。



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