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第73章 正式に同棲開始
「で、どうなの?」

千夏が昼間っからグラスワイン片手に、睨みをきかせる。

「どうって、別に...」

稜は、前菜をつつきながら顔を俯ける。

「別にってことないでしょ!両親にも認められて、ちょーラブラブな彼氏と同棲始めてんのに!!」

「千夏、声が大きいから!!」

稜は、周りに響く千夏の声に慌てて制する。

「私も同棲はしたことないから気になるわぁ〜」

いつもなら静止側にまわりそうな有希子も、ブラッドオレンジジュースを片手ににまにましている。


6月に入って、稜の誕生会も兼ねてのいつもの女子会だ。

ランチの場所は千夏が予約するというのでお任せしたら、なんと羚汰の働いている“La Colte”で。

しかも、今日は羚汰も働いている。

3人ともこのお店は好きで、羚汰が勤めていると発覚するまでは2、3ヶ月に1度は訪れていた。
発覚してからは、なんとなく来づらいと足が遠のいていた。

連れてこられた稜は驚いたが仕方ない。
なんとか恥ずかしいからと、ふたりを無理やり引っ張ってピザ釜から離れたところに座った。
それでも、ピザを作る羚汰が時折視線に入って気が気ではないのだ。

それなのに、さっきから尋問のように始まった千夏の質問攻撃に、益々たじたじだ。

「それに、部屋は残してたけど、今までも同棲してたわけだしー」

先月末、正式に稜の部屋を退居して、2人で暮らし始めた。

そのことを千夏は聞きたいらしい。

「えー。なんか、こう、あるでしょ」

「ないない。一緒よ」

「ケンカが増えたー、とか。1人になる時間が欲しいー、、とか。エッチの回数が減ったー、とか」

稜は、飲んでいた水を吹き出しそうになる。

「ないない!!」

「えっ、減ってないの?エッチの回数!うっそ!半年経っても絶倫くんのまま!?」

千夏がここぞとばかりに身を乗り出す。

「私は、稜のお母さんとかが気になるわぁ。あれからどうなの?」

助け舟なのか、有希子が話を変えてくれる。

「え、あ、うん。何かと電話が来るようにはなったけど、今のところは」

同棲はなんとか許したものの。
母親としては、羚汰のことが気になるらしい。
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