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NEXT 【完結】
第74章 出発前
羚汰のくすぐりが止まってから、こんどは稜がくすぐり返す。

「わはっ、稜っ!ずるい!今降参したじゃん!」

「だめー。2人でお出かけもしたいもん!」

羚汰は、稜の仕事のある平日にイタリアに発つ。

その次の月にイタリアに行く為に長めの連休を貰っている手前、見送る為にその日会社を休むわけにも行かない。

だから、せめて週末は羚汰とずっと一緒にいたい。

出来れば、ベッドだけじゃなくて。

「わかった、わかったよ!」

くすぐったがりの羚汰のほうが、これは分が悪い。

ちょっと涙目になっている。

その腕の中に稜は飛び込んだ。

「なかやま、行こ?」

「あはっ、こんな時も、なかやまなんだ?」

「だって。...美味しいし」

何より安い。

「残念だけど、なかやまは日曜日は休みじゃないかなー」

「えっ。そうだっけ?」

「うん。たぶん」

でもこの辺りで、他に食べるとこといったらー。

考え込む稜の頭を羚汰が撫でる。

「また考えよ。ほら、もう寝ないとヤバくね?」

そうだった。

稜は、慌てて体を翻し、いつものように羚汰がその背中を抱きしめる。

「オヤスミー」

「おやすみ」

指を少し絡めて、稜は自分に引き寄せる。
この温もりが安心する。

さっきまでの騒ぎから、静かになって一気に眠気がやってくる。

うとうととし始めた頃。
背中に向けて小さく囁く声がする。

「稜...。好きだよ」

寝言なのか、稜が寝たと思って発せられた台詞なのか。

それとも、もう稜が眠っていてみている夢なのか。

「...うん」

絡めた指に力を込める。

「私も。羚汰が、好き...」

幸せな気持ちでそのまま眠りについた。






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